境界の話2

 前回、筆界と所有権界(占有界)の違いを書きましたが。本来は一致すべき。だから、いつも「一致してくれ」と願うのですが、そうならない場合も結構あって。その場合は話し合いになるのですが、まとまらなければ裁判ということも。ちなみに、筆界に関わる争いは境界確定訴訟、所有権に関する争いは所有権確認訴訟と別れています。

 最近はAIに聞けば何でも教えてくれます。「時効」って聞いたことありますか。ドラマで、殺人犯が逃げまくって、何年後かの真夜中午前0時に「時効だ」と言って喜んでいるシーンを見たことがあります。これは消滅時効というもの。一定期間権利(この場合は起訴)が行使されないと、その権利が消滅してしまう制度です。なんでこんな制度があるんでしょうか。理由として、「時の経過とともに、証拠が散逸してしまい、立証することが困難になる」や「時の経過とともに、被害者を含め社会一般の処罰感情等が希薄化する」、「犯罪後、犯人が処罰されることなく日時が経過した場合には、そのような事実上の状態が継続していることを尊重すべき(→法的安定性の確保)」等が言われています。ちなみに、殺人事件の時効期間は、昔は15年だったらしいのですが、その後25年になり、2010年には期間が撤廃(→無期限)されました。もう、ドラマにできませんね。

 消滅時効とは逆で取得時効なる制度もあります。これが実は、土地と関係があるんです。民法には「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。(162条1項)」なる条文があります。どういうことか。大雑把に言うと、他人の土地であっても20年間、誰からも文句を言われず我が物顔で使い続けることができれば、その土地はあなたのものになる、といった感じ。何を言ってくれるん、と思いますが、先述の法的安定性の確保を尊重された結果でしょうか。ネットやAIでも簡単に調べられるので、まれに、時効だ、と言われる方がおられます。でもね、時効って、原則、裁判で主張するようなことですからね。それとね、今度は刑法で、「他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の拘禁刑に処する。(235条の2:不動産侵奪罪)」なる条文もあります。時効だと主張して裁判して、逆に、不動産侵奪罪で反訴されたら。公訴時効の問題もありますが、しっかりした根拠のもとで争わないと大変なことになるかも。

でもね、それよりも、もしこれがお隣さん同士だった場合、勝った負けた云々、2度と仲良くなんてできないですよね。回覧板や掃除当番の引継、どうしますか。子供が、孫が、お友達になったらどうしますか。だから、まずは冷静になりましょう。これが大事。泣き寝入りしろと言っているのではありません。物事は大局的に考えないと。冷静になれば、何が大事か分かります。その上で、どう対応されるかをじっくり考えましょう。第3者の客観的な意見を聞くのも大事ですよ。

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