不動産を持つということ

 早速ですが、不動産を所有するということは、その不動産を “法令の制限内で”全面的かつ排他的に(他人の介入なく)利用できる権利を有する、ということです。“法令の制限内で”と余計な言葉が付いていますね。どういう意味でしょうか。簡単に言うと、100%自由に使えるわけではないよ、ということ。想像つくと思いますが、権利があれば義務もある、setみたいなものですから。例えば税金。不動産の所有者は、固定資産税や都市計画税等の税金を納付する義務を負います。知らない人はいないですよね。地方税法に記載されています。ようは、不動産を所有する者は、不動産に関する法律を知っておく義務があるということです。「法の不知は許されず」ですから。

 土地基本法という法律には、次の条文があります。

・土地所有者等は ~ 基本理念にのっとり、土地の利用及び管理並びに取引を行う責務を有する(6条1項)

 ちなみに、教育基本法や環境基本法等、“基本法”と付く法律がありますが、これらは国民の具体的な権利・義務を定めるものではなく、国の制度等に関する方針を示したものだと言われています。よって、この条文をもって、直ちに違法だどうだ、ということはありませんが、これが国の方針だ、と言われたら、ないがしろにはできないですよね。

 同法には、他にも次の条文があります。

・土地は ~ 公共の福祉を優先させるものとする(2条)

・土地は ~ 適正に利用し、又は管理されるものとする(3条1項)

・土地は、投機的取引の対象とされてはならない(4条2項)

・土地の所有者は ~ 所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない(6条2項)

・土地所有者等は、国又は地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力しなければならない(6条3項)

 「公共の福祉を優先させる」とは、ざっくり言うと、自分の土地なんだから無制限に好き放題しても良いというものではなく、近隣住民等外部との関係から制約されることもあるよ、という考えのこと。

 なお、私の業務で出てきた法律だけ言えば、他には民法、不動産登記法、都市計画法、建築基準法、土地改良法、道路法、農地法、海岸法、河川法、海岸法、墓地・埋葬等に関する法律、国有財産法、刑法、借地借家法、公有地の拡大の推進に関する法律、国土利用計画法等がありました。本当多いですね。

 もし違反したらどうなるか、農地法や建築基準法の罰金は最高1億円です(払わされた人を聞いたことはありませんが)。 自分の土地だからといって、農地を潰して駐車場にしたり、建物を建てたりしていませんか。農地でなかったとしても、法で確認申請が必要とされているのに、申請せずに建物を建築したり、増築したりしていませんか。繰り返しですが、自ら所有する不動産だからといっても、100%自由に使えるわけではありませんので。

 法律だけでもこんなに多いのに、悲しいかな、これだけではないんです。次の条文をご覧下さい。

・民法228条(囲障の設置等に関する慣習):前3条の規定(囲障の設置、保存の費用について)と異なる“慣習”があるときは、その“慣習”に従う。

・民法236条(境界線付近の建築に関する慣習):前2条の規定(境界線付近の建築に関する慣習)と異なる“慣習”があるときは、その“慣習”に従う。

 “慣習”…?法律だけでもかなりの量なのに。でも法律は、今の時代、ネットで簡単に見ることができますよね。慣習なんか、あるかないか、あるのであればどこにあるのか、探すだけでも大変です。不動産を所有するってこんなに大変なんです。怖いですね。とはいえ、良識ある使用をされていれば、細かいところは知らなくても、トラブルなく平穏に暮らせるんですけどね。

 それでも、購入を検討されているのであれば、後で苦労する前に、備えとして、購入する不動産についてよく理解した上で、購入されることをおすすめします。当方でサポートできることがありましたら、気軽にご相談ください。

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